【レポート】 JFEエンジニアリングにおけるAI・IoT関連の取組 ~DX推進のための組織、人財育成、プラットフォーム構築~ #AWSSummit
はじめに AWS Summit Tokyo 2019 Day1 で開催されたセッション「JFEエンジニアリングにおけるAI・IoT関連の取組 ~DX推進のための組織、人財育成、プラットフォーム構築~」についてレポートします。 スピーカーは JFEエンジニアリング株式会社 ICTセンター センター長 粕谷 英雄 様 です。
セッション概要は次の通りです。
当社はゴミ焼却プラント・バイオマスプラント等のプラント設備を手がけている。当社敷地内に2019年3月に建設したグローバルリモートセンターでは客先プラントの遠隔監視を行い、また、同時にデータ蓄積を行っている。2019年11月にはデータ解析プラットフォームを立ち上げ、客先プラントデータの解析を行える環境を整備した。本セッションではこれらの設備の特徴や、技術的な工夫点、事例などを紹介する。また、AI関連の組織を短期間で立ち上げた経緯や人財育成についても触れる。
セッションレポート
以下、セッションレポートです。
前提
- 粕谷さんは3年前から組織作りやっている
JFEエンジニアリングについて
- 鉄を中心としたエンジニアリング
- 環境、エネルギー、社会インフラ、リサイクル/発電
- 幅が広く統一プロセスが難しい
- 設計、調達、建設が中心だった
- 事業スキームは変革期
DXの進め方
背景
- 3年前は情報システムは関連会社へ丸投げ
- 事業はうまくいって業務は増大
- データ活用していく期待感
- セキュリティへの懸念
- 統括部門を立ち上げた
- 問題いっぱい
- 人少ない
なので
- 少数の人間でまずは既存業務の把握
- そして、できるところから刷新
- 丸投げだった基本設計を取り戻す
- 自分たちで運用する
- 変化が普通に起こる文化を作りたい!
- レガシーシステムが残ってると損失が出る
グローバルリモートセンター
- データを集め、ツールを統一化してAIアルゴリズムを作り適用し、全体が流れるようにする
- 2003年から監視装置をリモートでメンテする
- 元々の環境プラント(ゴミ焼却)向けから、監視対象を他や海外にも広げる
データ解析プラットフォーム
- 開発期間1年で開発した、名前は“プラッチェロ”
- バージョン2の開発を進めてる
- データサイエンス
- 情報学(人が少ない)、統計学(人が少ない)、適用領域の知識
- コンセプトの一つが技術者の敷居を下げる -> 適用領域の知識を持つ技術者が使える
コンセプト
- セキュアかつ柔軟なアーキテクチャ
- プラント -> VPN -> ETL -> ML -> BI(アーキテクチャ図)
- 24/365 SOC(Security Operation Center)
- ITとOTの分離(物理的にも論理的にも)
- データは一方通行
- CSMS認証
- プラント技術者がデータ解析を行えるよう使いやすさと機能のバランスを追求
- ETL層:GUIベース
- 外部ツール
- 機械学習:時系列データが扱え、グラフィカル
- プラントはセンサーデータが多い
- 主に異常検知
- 外部ツール
- 深層学習:GUIベース
- コードも書ける
- 外部ツール(どんどん進化してる
- BI:分析力/表現力が必要
- これは自前で開発している
- 現在IoT Analytics / IoT SiteWIseを検証・評価している段階
- 社内で普及させる
- ポータルサイト:情報が見えるよう
- 教育:社内で教育プロクラムを開催
- 普及:アイデアソン・ハッカソン -> プラント技術者が参加
プロジェクト事例
事業会社なのでいっぱい出口(適用場所)がある
- プラント自動化 (ゴミ償却プラント)
- ベテラン運転員手で制御してることが多い
- 自動化する
- 燃焼画像を使い、数値化する
- 過去の手動介入時のデータを使う
- かなりの手動介入が減ってる
- 橋梁の高圧ボルト締め付け点検業務の効率化
- 部材管理:目視から電子タグをつけて管理
- 溶接箇所位置ずれ修正
- 異常予知を検知
今後の展開
- DX推進:事業部との期待と支援できるところのギャップを埋める
- データ解析プラットフォーム:ツールは整備できたが、サービス化はこれから
- 普及促進:事例の整備、キーマンの育成
最後に
- 攻めのIT経営銘柄5連覇達成
- ユーザー企業なので最初から最後まで取り組める
まとめ
鉄をはじめとして公共インフラやプラントを扱う業界の中で、自動化/省力化や、より安全を達成するために、現時点の技術でもITが活躍できる領域はかなり残されているんじゃないかと感じました。また、新しい取り組みの進め方として、少数で少しずつ、できるだけハードルを下げ、そこから教育やハッカソンなどで更に多くに広げようとするやり方も参考になりました。